となり
『空ちゃん、先生が退院しても大丈夫だって言ってくれたよ』と
真悠は嬉しそうに彼に言うと
彼は窓際に立ったまま
真悠に背を向けたままで
口を開き始めた

『真悠さん、今までごめんなさい。俺、いっぱい酷いこと言ったのに、ずっと俺のそばにいてくれて。俺のせいで、仕事も辞めたんでしょ?沢山迷惑かけたのに、それでも家族って言ってくれて本当にありがとう。俺、真悠さんが言うように、病気のせいにして逃げてた。記録会で倒れて、選手にもなれなくて、その上病気がわかって、しまいには治せないなんて聞いたら、あぁ~俺はもう終わりなんだって思った。そんならいっそう、何でもいいやって思ってた。だけど、家に戻って手足の痺れが出始めたら、急に怖くなったんだ。このまま死にたくないって。だけど、どうしたらいいのかわからなかったんだ。だけど、全てができなくなっても、もえだけは諦められないって、改めてわかったんだ。今の俺には、もえが大切なだから。もえがいてくれたら、病気と闘えるって思えるから』と
彼の言葉に真悠は何度も
頷きながら彼の後ろに立つと
『空ちゃん、きっと大丈夫だよ』と
涙をこらえながら言うと
彼は軽く頷いた
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