となり
パチンっー
大きな音が病室に響き渡った
それはもえが彼の頬を
強く平手打ちした音だった

『ずっと…ずっと…待ってた…。一人でずっと寂しくて、どうしたらいいのか…わからなくて…空太にそばにいて欲しかったのに…何で別れようって…言ったの?私…ずっと…』と
私の言葉をさえぎるように
彼も口を開いた

『ごめん。木村から聞いただろう?俺の病気のこと…俺、どうしたらいいか、わかんなくて、何で俺なんだろうって。今まで頑張ってた陸上もやれなくなって、いずれは歩けなくなって寝たきりになります…そんな事実受け入れろって言うほうが無理だろう?まずは、もえにはこんな弱い自分を見せたくないって思ったんだ。だから…』

『だから…別れようって言ったの?』

『仕方ないだろう?俺達は来年受験で、もえが病気のこと知ったら、きっと俺のそばにいるのは目に見えてる、もえに負担はかけたくなかったんだ』

『ずるいよ…そんなの。私、空太が私のこと好きじゃなくなったって言われて、すごいショックだった。あの日は、私…空太に伝えたいことがあったのに…』
< 398 / 411 >

この作品をシェア

pagetop