となり
そんな私と彼を見ている
梨沙子も知己の姿を見るたび
少し不機嫌そうだった
梨沙子は私の気持ちを
全て知っているせいか
¨大丈夫?¨
¨辛い時は何でも言いなよ!¨と
声をかけてくれた梨沙子の
気持ちがとても嬉しかった

そして段々と暑さが
涼しさに変わり始め
夏の終わりを知らせるように
この時期から中間や期末など
テスト期間に入り
運動系も部活がなく
午前中で授業も終わり
知己と彼の姿を目にする
時間がなくなった

『もえ~今日、カラオケ行かない?』と
今日もテストが終わり
午前中で帰宅出来るせいか
梨沙子は机から
教科書を取り出しながら
問いかけ席を立ち上がる
私も鞄に沢山の教科書を詰め
梨沙子の問いかけに軽く頷く

テスト期間だと言うのに
勉強もせずに私も梨沙子も
毎日遊び回っていた

だけどそれが
私にとっては救いだった
一人でいても考がえるのは
彼と知己のこと―
二人の楽しそうにしている姿を
思い出してしまう
とても勉強をする
気持ちにはなれなかった
梨沙子もそんな私の気持ちを
わかっていたのかもしれない
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