となり
彼は私の後を追うように走り
今まで抜けていた
二人の時間を埋めるように
沢山の会話をした

夕方少し前になると
学校を終わらせた
梨沙子と信吾が病室に来る

久しぶりに揃った四人は
会話が弾むと気がつくと
夕暮れの陽もいつしか
沈みかけ暗くなりそうだった

『俺、そろそろ帰らないと。ここまで二時間はかかるからな』と
彼の言葉に梨沙子も
『あっそっか。じゃあうちらも、そろそろ帰ろっか。瑞木、駅まで送るよ』と
梨沙子は椅子から立ち上がる

『私達、先に下に下りてるから』と
梨沙子は信吾を掴むと
『じゃあ、もえ、明日は家に帰れるんだよね?家に帰ったら連絡してよ』と
梨沙子の言葉に私は軽く頷くと
梨沙子と信吾は病室を出ていく

『じゃあ、俺も行くよ』と
彼も言うと椅子から立ち上がる

私は彼の服を少し掴むと
『大丈夫だよね?』と
問いかけた

彼は私をギュッと抱き締め
『大丈夫だよ』と
小さく囁くと私はコクリと頷き
『家に帰ったら、必ず行くから。絶対に行くから』と
私は大きな声で言うと
彼はゆっくり首を縦に振り
病室を出ていった
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