となり
『ごめんね。お母さん、もえが倒れた時、空太君のお父さんと会ったの。空太君がもえに別れを告げたこと、空太君が病気になったこと、その時に知った。このまま、二人が別れたままなら、きっともえも赤ちゃん諦めてくれるってお母さん、そんなズルいこと考えてた。だけど、もえは空太君と別れた後でも、赤ちゃんは諦めないって決めた時は、もう何も言えないって思った。ただせめて、赤ちゃんは許してあげて空太君とは、このまま会わないでいてくれたら、もえも赤ちゃんも無事でいられるって思ったけど、真悠さんの必死なお願いには、最後まで断り続けることが出来なかった。お母さんも、とことん押しに弱いわね』と
母親はウサギの形に剥いた
林檎を皿に綺麗に乗せ
『食べなさい』と
私の前に置くとニコッと笑った

私は箸を置くと林檎を
ひとつ指でつまむと
ゆっくり口に入れた

『美味しい?』と
母親の問いかけに
私は首を縦に振りながら
林檎を再びかじった

母親が帰り消灯時間が近づく
私は今日1日疲れたのか
布団に潜り込むと
電気もついたまま
深い眠りについていた
< 403 / 411 >

この作品をシェア

pagetop