となり
車に乗り込むと父親は
タバコの火を消すと
私が座っている側の窓を開けた

父親は昔からタバコを愛用している
だが私が妊娠をしてからは
家で平気で吸っていた父親は
庭に出てけして部屋の中では
タバコを吸わなくなった
それは私に隠れて父親が
妊婦について書かれた本を
わざわざ本屋で買って
読んだことがきっかけになったと
母親はこっそり私に話てくれた
普段言葉数が少なく父親の
考えてることがわからなく
思っていた私はそんな
父親の気遣いがとても
嬉しく感じていたんだ

『お父さん、お待たせしました。市役所に行ってもらっていいかしら』と
母親の言葉に父親は
『うん』と一言だけ言うと
車をゆっくり走らせた
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