となり
私はいつの間にかに
車の中で寝てしまったのか
『着いたわよ』と
母親に体を揺らされると
私は眠たい目を擦りながら
『うん』と呟き車を下りた

『じゃあ、ちょっと行ってきますね』と
母親の言葉に父親は軽く頷き
タバコに火をつけ始める

市役所の中に入ると
クーラーが効いていたのか
ひんやりと冷たい風が
体に当たり少し体が震えた

『確かこの先だったかな』と
母親は広い役所内を見渡し進む
私も母親の後を追うように進み
母親は順番待ちのカードを取り
そして椅子に腰かけた
私も母親の隣に座ると
『10番札でお待ちの人どうぞ』と
すぐに声がかかると
『もえの番よ。行ってきなさい』と
私の膝を軽く叩いた

『はい、お願いします』と
番号の書かれた紙を渡すと
『はい、ご用件は何でしょうか?』と
笑顔で問いかけた女性に
『あの、母子手帳が欲しいんですが』と
少し小さい声で下を向き呟くと
その女性は再び笑顔で
『はい、母子手帳ですね。おめでとうございます。では、こちらにご記入のほうよろしいですか?』と
書類を渡されると
私は記入し始めた

『あの、お願いします』と
私は記入した書類を渡すと
今まで笑顔だった
女性の顔は少しづつ曇り始めた
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