となり
そして私は衝動的に
彼への心配が大きくなり
今すぐにでも
彼に会いたいと思った
梨沙子から聞いた病院に
自然に足が向かっていた

自転車に股がると
無我夢中でこいでいた
駅に着くと肌寒い季節なのに
少し汗だくになりながら
切符を買い電車に乗る
聞いた病院は地元の駅から
二つ先の大きな大学病院だった
改札口を出ると辺りを見渡し
交番で病院の場所を聞くと
言われた通りの道を
足早に歩き病院に向かった

病院に着くと扉の前で息を飲む
さっきまで汗ばんでいた体は
今はもうすっかり冷えて
気付くと小刻みに震えていた

扉を開け中に入ると
昼過ぎだと言うのに
ザワザワと人が席に座り
順番待ちをしている
そして少し冷たい空気が
顔に当たり再び体は震えた

受け付けに向かうと
私は彼の苗字を看護婦に言い
母親の部屋を確かめた
部屋番号を聞くと
私は直ぐ様階段へと急ぐ
階段を一段一段上がる
次第に不安が襲い足が重くなる
そして涙が出そうになった

ふと我に返る…
¨私何で来たんだろう?¨
¨私が来て彼に何が出来る?¨
そんなことばかりが
頭の中を交差しながら
確実に近づいている
彼の母親の病室が
私の中で大きな壁に感じた
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