となり
Taxiに乗り30分位走ると
『はい、着いたよ。ここは一通だからここまでだがね、この道を行って、あそこの角を曲がった所が、お客さんから聞いた住所付近だよ』と
運転手さんは角を指差し答えた
彼は軽く会釈しお金を払い
私達はTaxiから降りた

少し斜面のある坂道を
彼の後ろから私はゆっくり歩く
彼はきっと緊張して
ドキドキしていたのだろう
ずっと会話はしていない

そして…
運転手が指差し教えた
曲がり角を曲がると
彼は急に足を止めた

私は彼の背中に触れると
ずっと会話をしなかった彼が
急に口を開いた

『いきなり行って、なんて言ったらいいんだろう。きっと迷惑じゃないのかな』と
彼は緊張ではなく
不安な気持ちだったのだ
私は彼の手を引き
『大丈夫』と
ゆっくり歩き出す
なぜかこの時の私は
冷静な気持ちでいたのだ

住所を確認し家を探す
茶色の塗装がしてある
小さくて可愛いらし家の前で
立ち止まる…

そこには手作りの表札に
¨佐藤¨と書いてあった
間違いない
彼の父親がここにいる
私はゆっくりと
呼び鈴を鳴らした

ピン~ポンと
ブザー音が鳴り中から
女の人の声がし扉が開いた
『どなたですか?』と
その女性は声をかけ私達を見た
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