となり
そんな二人の姿を目にし
私はふと知己のことを
思い出していた

彼から聞いた時
私と知己と彼の関係に重なった
だけど私はこの三人のように
お互いを思いやることが
出来ずに知己を傷つけて
そして友情をダメにしてまで
彼を選んだこと…
私は何て自分が醜くく
そして弱い人間だと感じて
急に自分が恥ずかしなった

そしてこの三人が互いに
自分を犠牲にしてまでも
相手が幸せになることを
素直に願える思い
そして離れた今でも
こんなに強い絆で
繋がっている関係
私にはとても
真似出来ないと
改めて感じてしまった
父親に会いに来てどのくらいの
時間が過ぎたのだろう
真悠さんが急に
『お腹空いたでしょ?ご飯でも食べて行って』と
ソファーから立ち上がり
キッチンに向かった
真悠の言葉に父親は彼に
『今日は泊まっていくといい』と
言葉をかけていた

私は真悠さんの後ろを追い
『あの、手伝います』と
少し控えめに声をかけると
真悠さんはニコニコしながら
私に水色の可愛いらしい
エプロンを渡して
『お願いね』と声をかけた

キッチンからは
料理をする音が響き渡る…
彼と父親は一言も話さずに
ただソファーに
座り込んだままだった
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