となり
会話をしないまま
夕食をいただき
時間だけが過ぎて行く
時計を見ると
すでに七時を過ぎていた

『ごちそうさまでした。美味しかったです』と
私はお皿を片し席を立つ
『ありがとう。そのままで大丈夫よ』と
真悠さんは
テーブルに残っていた
お皿を片しながら声をかけた

『空太…こんな時間だ。もえさんもいることだし泊まっていきなさい』と
父親の言葉に彼は
首を横に振りながら
『大丈夫です。今日は帰ります』と
席を立ち上がった

『ごちそうさまでした。今日は突然来てすいません』と
彼は真悠に軽く会釈すると
着てきた上着を着ると
再び彼は頭を下げると
玄関に歩き出した

私も急いで上着を着ると
二人に頭を下げ
『ありがとうございました。落ち着いたらきっと彼から連絡をさせますので』と
足早に彼を追いかけた

外はすでに暗くなっていた
彼の後ろを見失わないように
必死で歩るく…
彼は何も言わず
そして振り返らずに
少し足早に歩いている

彼は今何を考えているのか―
今日彼の父親に会いに
来てよかったのか―
なんてことを
私は彼の背中を
見つめながら考えていた
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