となり
―――
『もしもし…父さん、空太です。この前は、突然行ってごめんなさい。昨日母さんが、急に体調悪くなって、先生がもしかしたら、明日がヤマかもしれない…って、とっ父さん…、おっお願い…』と
泣きながら彼は電話越しに
父親に訴えていた

それは急に彼の元に
体調が悪くなったと夜中に
病院から連絡をもらった後に
彼が父親にかけた電話だった
彼は連絡を受け病院に向かい
母親に付き添っていた
先生からは
¨今日の夜、もしくは明日がヤマかもしれない…¨と
それは彼には耐えられない
厳しい言葉だった

母親は息を荒くさせ
苦しそうにしていた
彼は母親の手を力強く握り締め
必死で願いながら
何度も¨頑張れ¨と呟いていた

夜の病室は静かで
ただ機械音が響き
ひんやりとしている

キューシュポッ
キューシュポッと
空気を入れる音が鳴る…
彼は心細くて今にも自分が
どうにかなりそうな
気持ちでいっぱいだった

『母さん、大丈夫だよ。か…必ず元気になれるから。大丈夫、きっと大丈夫』
彼は手を握る力を強め
何度も何度も¨大丈夫¨と
呟き…自然に涙が溢ると
クスッ―と笑う
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