となり
『そ、そう…た…、何な…いてるの?男の子がメソメソ…して、おかしい…わよ』と
碧は少し苦しめに言葉を濁せ
優しい笑顔を見せた

『か、母さん?先生呼んでくる』と
彼は椅子から離れようとすると
碧は彼の手を掴んだまま
口に当てられていた
酸素マスクを外した

『空太、ごめんね。お母さん何もしてあげられなかったね。お母さん、ずっと体弱かったから、お父さんと別れた時も、空太は本当はお父さんと一緒に行きたかったんじゃないの?だけど…お母さん、こんなだから、わざと行かなかったんじゃないかなって…。空太は昔からいい子で…わがまま一つ言わないから、我慢ばかりさせちゃったよね?本当にごめんね。だけどお母さん…空太がいてくれて、本当によかった。幸せだったよ』と
母親の言葉に首を縦に振り
彼は泣きながら手を握った

『そ…空太、お母さんね、お父さんと出会って、色々あったけど、お父さんと結婚して空太を産んで、家族で過ごした時間、お母さんに取って、かけがえのない時間だったよ。空太は、これから沢山幸せになって欲しい…わがままも沢山言っていいんだよ。我慢もしなくていいんだよ。お母さん…いつでも空太のそばにいるから』と
碧は彼の涙を手で拭うと
いつもの優しい笑顔で笑った
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