となり
『えっ、俺かよっ』と
彼は教科書を
渋々もち立ち上がる
私はそんな彼を見て
教科書で顔を隠し笑っていた

彼の教科書を読む声が
教室に響いている
学校を長い間休んでいたのに
成績が悪くなく勉強も遅れずに
ちゃんと出来ている彼が
少しうらやましかった
そして何より普通に彼が
私のこの隣の席にいるのが
とても心地よかった

たいして勉強もしないまま
テストが始まり
あっという間にテストも終わる

テストを済ませると
学校も終わり近づき
いよいよ夏休みに入る

相変わらず毎日暑く
そしてうるさく
蝉が鳴いている―

彼は学校に通い始め
そして部活も行き始めた
休みに入りまた彼といられる
時間ができると
少し期待していたが
彼の母親が亡くなり
彼と学校以外で
会うことがなくなり
特に私達の間に
変わったことはなく
普通に戻っていた
私は何だかそれが
複雑な気持ちだった

私は彼を特別に思っている…
彼は私を
どう思っているんだろう…
私は初めての恋に
戸惑いを隠せないでいた
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