となり
私は周りを見渡し
チョロチョロと
行ったり来たりし
落ち着かずにいた

『おはよう』と
髪に寝癖をつけ荷物を肩にかけ
アクビをしながらダルそうに
彼が歩いてやってきた
私は少しホッとしていた

『お前もおせ~しぃ』と
梨沙子はまたキツメに言うと
先生に点呼の報告をしに行く
梨沙子はじゃん拳に負け
今回のこの班の
班長をすることになり
少し不機嫌気味だった

『おはよう』と
彼が私に気付き声をかけ
そして隣に座った
私は少し下を向き
『おはよう』と
少し小さく言った

生徒が揃うと次々に
機内に乗り込むと
次第に鼓動が早くなった
いよいよ離陸だ―

機内では生徒の話声が響く中
先生の注意する声がこだました
私は少しキョロキョロと
挙動不審になりながら
少し控え目にアクビをすると
横に座っていた梨沙子が
『もえ、お菓子持ってきたんだけど食う?』と
さっきまで班長の仕事で
不機嫌気味な態度が嘘のように
今は陽気なテンションだった

『私は、いいや』と
少し背もたれを下げ
膝にタオルをかけ横になった

『北海道って何がメインなんだ?』と
座席の前にあった
北海道のパンフを広げ
私の隣に座っていた
彼が問いかけると
私は慌てて体を起こした
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