となり
そして彼の問いかけに
一番に梨沙子が口を出す
『やっぱり、白い恋人は欠かせないよね~北海道って言ったら、定番だし』と
ポッキーを加えながら答えると
梨沙子の隣に座っていた信吾が
梨沙子の口からポッキーを
取り上げながら
『定番って、お前はお菓子かよっ。よく朝から甘いもん食えんな。しかもこんなにお菓子持ってきてるし』と
梨沙子の手にあった
ビニールの袋を覗きながら
梨沙子にツッコミを入れる

私は二人を見ていると
彼がパンフを差し出し
私の答えをずっと
待っているかのように
私をじっと見つめていた

そして目が合う―
耐えられずに私は目を反らし
パンフレットを見て
『何だろうね』と
少しよそよそしく答えて
上着を顔にかけ再び横になった

上着で隠した顔が
赤くなっているのがわかった
なぜか彼を…
急に直視できなくなっている

何気ないことでも
彼の一言一言が胸に響く
どうしよう―
胸の鼓動が早くなって
隣にいる彼にまで
聞こえてしまいそうになる
そして大きくなる
好きの気持ちで
今にもはち切れそうだった

初めて恋をした
これは一種の病気
治す薬はない…
症状は悪化するのみ
だけど不思議と苦しくはない―
むしろ幸せでいっぱいだった
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