となり
『痛っ』と梨沙子は
信吾の肩をバチンと叩き返すと
二人は配られたパンフを
開きながら話始めていた
私はそんな二人を
横目で見ながらパンフを開く

まず始めの一日目は
全クラスで行く
旭山動物園だった

『この動物園ってドラマにもなったんだってよ~』と
信吾がパンフを
見ながら話をしている
『だけど、小学生じゃあるまいし、動物園ってどうなの?』と
梨沙子は言いながら
信吾とパンフを見ていた

そして先生が声をかける
『ほら、梨沙子。点呼報告してこいよ』と
信吾の言葉に梨沙子は
『また?いちいち点呼確認って、面倒くさいんですけど』と
口を尖らせながら答えると
報告をしに先生の元に走った

ロビーに集まり数分すると
私服に着替えた生徒が
再びバスに乗り込むと
今度は梨沙子の隣には
信吾が座り話をし始めている
私は必然的に彼と隣に座り
鼓動が再び早くなり
今にも彼に聞こえそうだった

『もえ?』と彼が呼ぶ声
私は彼をちらっと見ると
すぐに反らし『何?』と
窓の外を見ながら返事をした

『いや…何でもない』と
彼が答えると私達の間に
見えない壁ができ沈黙が流れた

バスが走っている間
私と彼は一言も会話がなく
時間が止まっているようだった
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