星にキス。

*理由。【the true is this】





白い、アパートに着いた。

ここが翔ちゃんの家である。


人差し指を近付け、チャイムを押す。


軽快な音が響き、奥から「はーいっ」と女性の声――― おばさんの声が聞こえた。


ガチャリと開いたドアの前には…… 昔の面影を少し残す、翔ちゃんのお母さんが立っていた。


「ナツちゃん。 いらっしゃい」


いつもは、電話越しから聞いていたおばさんの声を直接耳が捕らえる。


「しばらく見ない間に…… ナツちゃん、大人っぽくなったねー」


「そんなこと、無いです」


「可愛くなってー」


なんだか…… おばさんにそう言われると照れてしまう。


「さっ、入って、入ってー」


促されて、奥の部屋に足を進める。


白を基調とした、リビングに通される。


あたしは…… あたりをキョロキョロ見回す。


そんなあたしの疑問を感じたのか……。


「なにか、珍しいものでもある?」




< 129 / 155 >

この作品をシェア

pagetop