星にキス。
全く記憶に無い。
中学生のときは、ただ――― 今の高校に入りたくて、ずっと勉強していた。
だから、そんなパンフレットに目を通すなんてしていなかったかも知れない。
「あたしたちは、翔が中学生の時にお父さんの仕事の関係で少しだけ海外で生活していたときがあったの」
そんな話しは、初耳。
「お母さんは知っていた?」
「一応、ね。 出国するときと、帰国するときに連絡もらったから」
なんだ…… あたしだけが蚊帳の外だったわけか。
「“海外で生活”って言っても、1ヶ月くらいの短い時間。
お父さんの単身赴任先が海外で、二人で会いに行った程度だったの」
おじさんは転勤など多い仕事だった。
まだ、翔ちゃんとあたしが仲が良かった頃でも何度も単身赴任で家を空けていた。
長期休暇を利用して、翔ちゃんとおばさんがおじさんに会いに行っていたこと…… 覚えている。