星にキス。




おばさんが小さく頷く。


「~~~ ッッ」


どうしてあの時、あたしは会いに行かなかったんだろう?

もし、会いに来ていた―――。


「ナツはまだ進路がはっきりしていなかったら、どっちみち翔ちゃんとは会わせなかったわよ」


「なんで!」


お母さんのその言葉に強く言い返す。


どうして? どうして、あの時に帰国していたこを知っていたのにあたしに会わせてくれなかったの?

あたし…… ずっと“会いたい・声が聞きたい・話したい”って言っていたじゃん!


「翔ちゃんが帰国していた理由は、受験のため。 ナツとなんて会っている時間は無かったの」


「それでもッッ!」


――― 会いたかった。


春になれば会えるって分かったけど…… できれば、会いたかった。


それが許されないなんて…… あたしって、本当に運が無いのかな?




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