星にキス。
「今日は、ちょっと翔ちゃんの声が聞きたいなーって思って電話したんです」
「そう…… 翔に……」
おばさんの歯切れが悪い?
だから、聞いてみた。
「もしかして、今…… 翔ちゃん、近くにいませんか?」
部活をやっていたら帰ってくるのは遅くなる。
だから、まだ帰ってきていないのかも知れない。
「実は…… そうなの、翔はいなくて、ね」
やっぱりか。 あたしは、部活もやっていないから早く帰ってきた。
しょうちゃんは何の部活をやっているんだろう?
「そうですか――― じゃあ、また電話しますね!」
「うん、ありがとう。
でも、本当にナツちゃんの声を聞くなんて久しぶりね」
「こんな声ならいつでも聞かせますよ。 この番号、あたしのなんで」
懐かしむおばさんの声が嬉しくて、つい長電話しそうになる。
でも、長電話をしすぎるとお母さんに怒られるから…… そろそろ切らないといけない。
「――― じゃあ、また電話します」
こう言って、あたしは電話を切った。