星にキス。




やばっ、見つかった。

まぁ、はなから隠れる気なんて無かったけど……。


窓から差し込む光りによって、彼の輝く黒髪。

本を捲るときの、長い指。


彼の仕草一つ一つが、とても綺麗で――― つい、見入ってしまっていた。


「あんた…… 学校からの連絡知らないの?」


攻撃的な彼の態度に、少し怯んでしまう。


「連絡?」


当然、あたしはこの大学の学生じゃない。

だから、この大学のお知らせなんて、知る由も無い。


「オリエンテーションとかで、言っていたろ? 今日は、図書館のパソコンを変えるから、12時~14時の間は、図書館は入室禁止って」


そうだったんだ。 知らなかった。


図書館の入口にも、そんなお知らせは一つも貼ってなかった。 だから、気付くことが出来なかった。


「あなたは、どうしてここにいるの?」


図書館が使えない理由はわかった。 だから、図書館に人が居ないのもわかったけど……。

彼はなぜ、ここにいるのだろか?




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