星にキス。




「俺は、来週までに海外に送る資料作っているわけ」


へー、海外。 それはすごい。

翔ちゃんみたいなグローバルな人だ。


「パソコンを使うわけじゃないし、30分くらいで終わるって説明したら特別に許可されたわけ。

…… で、あんたは何年生? 見た感じ…… 俺と同じで1年生っぽいけど」


観察するように、彼に見られた。

もうこれ以上、隠すことが出来そうに無いので、正直に白状する。


「あたしっ、この大学の学生じゃないんですっ! 近くの女子短大生なんですっ!」


「女子短大って、この近くの?」


「はい……」


彼は納得したのか、さっきまでの攻撃的姿勢から――― 幾分、柔らかい姿勢に変わった。

それを感じ取ったあたしも、少しだけ心が軽くなる。


「なんで、他大学の人が?」


「今日、友達が夏の演奏会の打ち合わせで……」




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