星にキス。
――― 恥ずかしいんだもん。
それが決して、恋で無いとわかっていながらも…… 昔のことになると、本当に恥ずかしい。
「あっ、ここだ…… 入場門!」
「ハァ、ハァ……。 もー、逃げ足だけはナツ、早いんだから」
確かに、逃げ足は速い。 徒競走なんかは、遅い。
運動音痴って言われたって…… 気にしないんだから!
「ナツちゃんは、やっぱり遅いー」
「翔ちゃんが速いんだもん!」
よく、翔ちゃんと一緒に速さを競ったな……。
勉強もスポーツも…… いつも、翔ちゃんには敵わなかった。
小さな思い出に浸りつつ……。
「次は3年生と1年生の綱引きです」
あたしは入場門も潜って、綱を持つ。
見上げた空は、青く澄み渡っていた―――。