星にキス。




「あーあっ、ついにあたしたちも“受験生”だよ。 この3年間、あたしなんて1度も彼氏なんて出来なかった」


紙パックのオレンジジュースを口に含み、ハルが頬杖を付いた。


彼氏…… あたしたちは私立の女子校に通っている。

そんな中で“彼氏”なんて。


「無理でしょ」


ズバッと、言い切った。


「やっぱりー? 入る学校、間違えたかなー?」


クラスでも彼氏がいる子は…… 1人いるかいないか。


「彼氏が出来ないのは女子校の宿命だよ」


「ナツは“彼氏欲しい”って思わないの?」


「べっつにー、だって……」


彼氏。

いないより、いたほうがいいのかも知れないけど。

今のあたしには……。


「いらない、かな?」


「残念。 あたしが男ならナツのこと好きになるのになー」


「あたしは、ハルが好きだよ」


「ナツに“好き”って言われてもね」


女子校なんて、こんな感じだ。

男の子がいないから、比較的自由に過ごしている。




< 6 / 155 >

この作品をシェア

pagetop