星にキス。




お母さんの言葉には、一理ある。

そりゃ…… 一人でやるより、誰かがいてくれた方が励まし合ったり出来ていい。

それでも……。


「一人で頑張りたいから」


変な意地を張っているわけではない。


「あたしは一人の方が合っているよ」


「そう? …… なら、いいけど」


やや、納得していないお母さんに気づきながらもあたしはご飯を食べる。


大丈夫。 誰も側にいなくたって、自分で勉強できる。

今までだって、塾へは行かなかったんだ。

このペースを保ちつづければ…… 大丈夫。


自分に言い聞かすようにして、ご飯を食べ終えた。




「じゃあ、また夕飯の頃に降りて来るから」


「あまり根詰めないようにね……。 息抜きも、ちゃんとやりなさいよ?」


「わかってるって! 大丈夫だよ」


また、あたしは一人の世界へと舞い戻る。

机の前に、座った。




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