星にキス。




数時間が経った。


突然、ケータイが鳴った。

ディスプレイの表示を見て、自分の顔が緩むのを感じる。


「…… もしもし、ハル?」


「ナツ、元気だった?」


「元気だったよ。 …… 珍しいね、ハルから電話を掛けてくるなんて。 何かあったの?」


ハルは基本、メール。

メールばかり使うハルからの電話なんて…… 何かあったとしか考えられない。


「あーっ、特にたいしたことじゃないんだけど……」


ハルがやや、口ごもる。


「なに? どーしたの」


「なんかさー、勉強に疲れちゃって」


あぁ、そういうことが。


ハルもあたしと一緒で、塾の夏期講習には参加していない。

だから、外部との接触が少ない。


「なんか、家族ばっかりと話していると自分がおかしくなりそうで」


「それ、わかるかもー!」




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