星にキス。




家族以外と話さないと、何か…… 自分の中で変化が起こった気分になる。


「でもさー、ナツは翔ちゃんのお母さんとたまには、話したりしているんでしょ?」


「まあね」


あれ以来…… 夏休みに遊びに行くことを断ってからも、翔ちゃんのお母さんはあたしに電話をくれる。

長話をすることは無いけど。


“元気?” “無理しないようにね”


なんて言って、あたしを気にかける言葉をくれる。


「で、で! ナツーッ。 “愛しの翔ちゃん”とは話しが出来たの?」


電話口から、ハルの楽しそうな声が聞こえた。


「…… ハル」


「なに?」


「楽しんでいるでしょ?」


「まっさかー! あたしがそんな人間だと思っているの、ナツ?」


「うん、思っている」


速答してあげた。

だって、絶対に今のハルはニヤニヤッとした顔をしているにちがいない。

顔が見えなくたって、想像できる。




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