星にキス。
これ以上からかわれるのが嫌で、話しをすり替える。
「もうっ、用事は何だったの?」
「ナツの声が聞きたくなったー」
…… 珍しい、ハルがこんなことを言うなんて。
「明日は雨かなー?」
「…… ナツ、それってどういう意味?」
「ウソウソ。 ごめんって」
ハルもきっと、あたしと同じ気持ちなんだ。
一人で毎日机に向かって、問題集を解く毎日。
誰かに会いたくなったり、声が聞きたくなったり。
目の前の勉強から、目を背けたくなるような毎日。
「頑張ろうよ。 うちら、受験生なんだから」
「…… そうだね、ナツ。 ありがとう」
不安な気持ちは、誰だって一緒。
今、この気持ちに負けたらきっと…… あたしたちに、春はやって来ない―――。