星にキス。
*休息。【feel warm wind】
チッチッチッ――― と秒針の動く音に混ざりながらチャイムが鳴り響いた。
それは、全部の模試の終わりを告げるチャイムである。
「…… 終わったー!」
ハルが腕を高く伸ばした。
なんだか、肩が凝った。
ずっと下を向いていたせいもあり、首も痛い。
「ナツー」
「なーにー」
「ファミレスで“期間限定 オレンジゼリー”食べよう?」
「――― ッッ!」
“期間限定”かー。
それも“オレンジ”と、きた……。
「…… 行く」
疲れたから早く家に帰って休みたいところだけど…… “期間限定”と“オレンジゼリー”
この、言葉の誘惑に負けてしまった。
「よーしっ、そうと決まれば出発!」
ハルはそそくさと帰り支度をはじめた。
あたしも釣られるようにして、急いで準備をする。
まだ、暑さが残る空気に身を包まれながらあたしたちは校門を抜けて行った―――。