星にキス。
わざわざ推薦で大学に行く必要が無いのだって、分かっている。
センター試験や、一般受験で入ることだって可能。
でも、あえてあたしはそれを選択しなかった。
「1月まで悩んだって、あたしがやりたいことは見つからないと思った」
「……」
ハルは、黙ってあたしの話を聞いてくれる。
長期間、受験勉強をやることが悪いわけじゃない。
「今ね…… 親戚の家から“家庭教師やってみないか”って、声をかけられているの」
「…… 家庭教師?」
そう。 家庭教師。
基本的に、あたしたちの高校は“バイト禁止”
だから、今までバイトすらしたことが無い。
学校と家を毎日往復していたあたしに舞い込んできた話が“家庭教師”だった―――。
「今は“受験”があるから、やってなかったけど―――。 あたし、その話を受けようと思って……」