星にキス。
その日の夜―――。
机の上の、置き時計で時間を確認。
まだ、日付が変わっていない。
勉強道具を片付け、ベットに入る。
こんなに、ゆっくりとした時間を過ごすのはいつ以来だろう。
“特待生選抜を受ける”と決めてからはずっと、勉強ばかりする毎日だった。
周囲なんて気にせず、問題集とにらめっこする毎日。
読み掛けになっている、小説に手を伸ばす。
当然と言えば、当然だけど…… ずっと読んでいなかったから、内容がさっぱり思い出せない。
仕方なく諦めて、手近にあるマンガを持つ。
マンガを読むのだって、久しぶりに。
テレビに、読書。
今まであたしの生活の一部だったものが勉強によって大きく削り取られていた。
少しだけ、マンガに目を通し…… 襲ってきた睡魔に身を任せるかのように、あたしは眠りにつく―――。