黒い飴玉
「えっ……と」
彼にひきつけられて言葉が出てこない。
「お前は……人間か?」
私の近くまで来ると、私を上から下まで奇妙なものを見るように見回し、感情の感じられない淡々とした口調でたずねてた。
「え…えぇ」
アナタハニンゲンデスカ
いつもに比べて頭の反応は鈍いが、この質問を理解することは出来た。
「……そうか」
私の目の前に更に近づくと、抑揚のないどうでもいいと感じさせるトーンで話した。
何かを考えているのか目線は私の少し上だった。
「失敗したか」
私に視線を合わせると急に呟いた青年の言葉……どうやら青年は状況を読み込めたらしい。
「どういう事……」
彼はわかったようだが、私は未だに理解できていない。
長身の青年に目線を合わせながらたずねると、青年は先ほどのように抑揚の感じられない声で話した。
「お前は夢の中に閉じ込められた」