黒い飴玉
化け物


夢の中……



「痛く……ない」


無意識に頬をつねると痛みは感じなく、確かにここは夢の中なのかもと奇妙な感覚がした。

だが……

そう言われても未だ状況を把握できない。


「あなたは何者で……どうしてここにいるの?」
「何者……名前ということか……俺には名前は特にない、けどお前等には“獏”と呼ばれている」


答えているだけ……なのだろう声の抑揚も感じられず淡々と話す。


獏……


獏と聞いて私は昔に動物園で見たことのある獏が頭に浮かぶが、それと青年はお世辞で言っても似ても似つかわない。
< 14 / 37 >

この作品をシェア

pagetop