黒い飴玉
化け物
夢の中……
「痛く……ない」
無意識に頬をつねると痛みは感じなく、確かにここは夢の中なのかもと奇妙な感覚がした。
だが……
そう言われても未だ状況を把握できない。
「あなたは何者で……どうしてここにいるの?」
「何者……名前ということか……俺には名前は特にない、けどお前等には“獏”と呼ばれている」
答えているだけ……なのだろう声の抑揚も感じられず淡々と話す。
獏……
獏と聞いて私は昔に動物園で見たことのある獏が頭に浮かぶが、それと青年はお世辞で言っても似ても似つかわない。