黒い飴玉
「異分子?」
「夢を喰うからこそ夢を作り出すことができる。この世界唯一の存在だ」
淡々とした口調なのにその言葉の一つ一つが頭の中に響いてくるようだった。
そしてそんな獏の威圧感に飲み込まれそうだった。
「夢を作れるから……ここにいるの?」
「そうだ……ここは夢の影響を全く受けない……それに……もしもの時に夢が作れる」
「作れる?」
「俺のせいでここに連れてこられた……だから……変わりに面白い夢を見せる……」
真剣な表情で私を力強く見つめる。
「面白い夢……?」
と聞かれてもなんと答えればいいのか。
しかも話の展開がどうも読めてこない。
「儚くも美しい夢の世界、あんたの見たい夢はどんな夢?何かを得る夢、何かを失う夢…俺はどんなものでも作り出すことができる。さぁ……あんたの望みを言ってごらん」
そんな私に対して、挑発するような声色で重々しく言った。