黒い飴玉
「しょうがない。けど、俺はこういうの得意ではない。それでも良いのか?」
あまり乗り気ではなそうだ。
人と話すのが滅多にないと言っていたし、苦手なことなのかもしれない。
「今までの見ててわかるよ。もし苦手とかなら他の夢を考えるよ」
無理してまで一緒にいたくない。
それ以上に辛いことはないから……。
「別にお前が一番望むなら構わない。最高の悪夢をいただいたんだから、お前が一番望む最高の夢を見せる。俺の誇りにかけて……」
「誇り」
「俺は夢喰いである事に誇りをもっているからな」
そういう獏の瞳は真っすぐでその瞳に吸い込まれるようだ。
獏のその仕事熱心な所に甘えてしまっても良いのだろうか。
「私は……私の知らないあなたの世界について知りたいの。悪夢の味とか、夢の作り方とか。あなたが構わないなら教えて欲しい」
「だから言っているだろう。構わないって」
何度言わせるんだという表情で見ている。
けれど私は不安だった。獏は私と居てて嫌ではないかと……。
「さあ……夢の始まりだ」
そんな私の気持ちとは裏腹に獏が一言呟いた。