黒い飴玉
「そんな事をしたら、お前の体がおかしくなる」
「そんな事かまわ……」
「俺が構わなくないんだ。俺はお前に対して一切の影響を及ぼさない。それが俺の決めた規則だ」
「そう……」
これが一夜限りのこととわかっていても別れが来るのは嫌だった。
「だから……これで夢は終わりだ……良い目覚めを……おまえと一緒にいられて楽しかったよ……さようなら」
「玲」
そう言いながら言う獏の姿が知らない男の人と重なった。
黒い背広に身を包んだ私より2,3歳くらい年上の男性。
会ったことのないのに懐かしく感じ急に私の目から涙が溢れた。