黒い飴玉
「けど……あなたが作るどんな夢より素敵だったよ」
私は獏に届かないと思いつつ、獏の髪の毛のような銀色の日差しを見ながら続けた。
"ごちそうさん"
まるで誰かが通ったような強めの風に揺られて聞こえた……気がした。
「……」
一瞬驚きつつも今度は獏に届くと信じ呟いた。
"おそまつさまでした"
小さい頃はすごく嫌だった怖い夢……。
けれど……あなたがそれを食べにきてくれるのなら、それ以上に美しい夢はないだろうな。