黒い飴玉
“ボスッ”
音が止んだと思ったら、暖かくそして何故か儚さを伴う感覚と共に何かが私に倒れこんできた。
破壊音にひるみ目を思い切りつぶって入るので状況は把握できていない。
目を開いた時に現われる光景に恐怖を感じながらも、少しずつ目を開いていく。
「……」
目を開け、光と共に生気のない彼があらわれた。
彼が……
目をつむりながら私を抱きしめていた。
“ボス“
私が動くと肩に、血の気のない彼の頭が乗っかる。
「……」
恐怖で体が動かない。
ここで殺される恐怖ではなく大事な彼を失った恐怖で……。
体中に感じる彼の温もりも段々となくなってくるようでそれが更に恐怖を倍増させた。
「そいつが殺されて声も出ないのか」
彼を撃った人間と目が合った。
その男は言い終えるとニヤリといやらしい笑いを一つし、私に向けた銃の引き金を引いた。
「安心しろお前もそっちに連れて行ってやる」
“バン”
耳障りな音と共に私の体に衝撃が走った。
“ドサ”
その衝撃によって倒れこむように前のめりに地面に崩れ落ちた。
だが彼の体のおかげか地面の上には直撃せず、彼のまだぬくもりの残っている肩に顔をうずくめるように倒れた。