黒い飴玉
動かない彼の胸に顔をうずくめながら、彼だけを見つめていた。
彼のわずかに感じるぬくもりに身を寄せながら……
そのぬくもりが心地よく、それにより眠ってしまいそうだった。
“バンバン”
その感覚を忘れさせるように再び“奴”が私に対して数発発砲した。
もう衝撃も感じられず、鼓膜に振動する音だけで打たれているのがわかった。
あぁもう感覚もなくなってきた……
命の灯が徐々になくなっていくように。
それにしても
銃で撃たれたはずなのに痛みらしい痛みがない。
そう考えられる余裕がある…――即死のはずになのに意識はある……生きているのか死んでいるのかわからない不思議な感覚だ。
感覚が感じないのにそんな言い方もへんだが。
このまま私はどうなるのだろう……それすらもこの奇妙な感覚のせいかどうでも良く感じた。
“コロン”
何も考えず、ただ彼を見つめていたら、何の前触れもなく急に私の体のあちこちに刺さっていた銃弾が落ちていった。