黒い飴玉
「痛い……」
ある程度落ち着いてから鼻を押さえながら立ち上がる。
落ち着いたとはいえ、それでもまだ痛い。
未だに鼻をさすりながらまわりに起こる状況を把握しようと見渡すと、それが何かの合図だったのか、今までの見ていた景色が彼同様フイルムになっていった。
私の目の前にまだいた奴らも瓦礫も私から落ちた銃弾も、まわりにある建物も全てフイルムに変わっていく。
“シュルル”
唖然とその様子を見ていると、段々とそれらが合わさって空中で一枚のフイルムになって空へと向かっていく。
私は何が起こっているのか理解できず、フイルムの動きに合わせて視線を動かしていく。
フイルムは空中に向かうと、溶けるように消えていった。