愛し過ぎたから


手首を必死によじるが、痛くなるだけで、どうにも解けそうにない。


こんな時、一緒にいたあかねの事を考えている余裕はなかった。


ただ、一心に自分が助かりたいと思うだけだった。


少し暗闇に目が慣れて、回りを見渡してみる。


何もない部屋……なのか??


それ程の広さはないようだ。


私は、ゴロゴロと芋虫のように転がりながら、壁を探す。




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