愛し過ぎたから
ご丁寧に絨毯はひいてくれてあるが。
『なっちゃん、おはよう。』
奴がニンマリ顔で立っている。
『寝てる間に、お風呂入れて貰えてすっかり綺麗になった?もうアイツの匂いなんかさせてない?大丈夫?』
顔を思いっ切り至近距離まで寄せて、私の髪や顔回りの匂いをクンクン嗅ぐ。
思わず顔を背けた。
そう、さっきの注射で寝かせられ、うっすらだけど、石鹸の泡に包まれて、体を丁寧に丁寧に、痛いくらいに洗われていたのを断片的に記憶していた。