愛し過ぎたから


私は、ずっと下を向き、自分の膝だけを見続けていた。


『アッ………アン……。』


時折、リサの甘い声が混じるように聞こえだした。


『リサ、もっといい声で鳴いてごらん?』


『ンン……ア…アン……。』


くぐもっているが、しっかり耳に聞こえてくる。



いっその事、耳まで塞いで欲しかった。


見ないようには出来ても、聴覚に訴えてくるソレは、防ぎようがない。





< 93 / 146 >

この作品をシェア

pagetop