涙飴

「テスト、どうだった?」


テストも終わり、周りはもう夏休みモードに包まれていた。

美津菜もいつもよりテンションが高い。


「結構良かった!赤点なかったし」


「よかったね!まぁ五十嵐にスパルタ教育されたもんね」

「スパルタって……」


あの後、勉強会は何回かあったけど、五十嵐があの日の事に触れる事はなかった。


「そう言えばさ……あの日、美津菜鳴海の事追いかけたでしょ?何があったの?」


「え!?」


「だって美津菜から話してくるのずっと待ってたのに全然触れないからさぁー」


あたしがふてくされたように言うと、美津菜が分かった、と言った。


「別に大したことじゃないよ。
たださっきはごめんねって言って……それから駅まで一緒に行っただけ」


「ふーん……でもあたし、肝心な事聞いてない気がするんですけど」


美津菜は顔を真っ赤にする。周りをキョロキョロと見てから、またあたしの方を見る。

「華耶は小野寺のところだよね……」


そんな事を聞いて来る美津菜を不思議に思いながらも、あたしはうん、と頷いた。
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