涙飴
そんな風に言って来られたら、同意をするしかないだろう。


「……じゃあ好きな人出来たら絶対教えてね!」


「うん!分かった」


そう言って美津菜はにっこり笑う。


「九條さ~ん!」


クラスの男子達だ。
大した用もないのに、必要以上に華耶に話し掛けたりしている。

最近は華耶彼氏が出来たから、その回数は減りつつあるけど。

やっぱり、男は可愛けりゃいいんだよね。


「あ!呼ばれてるから行って来るね!」


華耶は男子達の元へ走って行った。
まぁ華耶のあの性格も男ウケしそうだし、男がちやほやする一つの理由なのだろう。


「……ブリッ子」


ほんの微かに耳に届いた言葉。
ほんの微かだったけれど、確かにそう聞こえた。


「今日さ……放課後どっか行かない?」


美津菜がいつもより真剣な面持ちでそう話し掛けて来た。

「え?いいよ!じゃあ華耶にも言わなきゃね」


「二人じゃ、駄目かな?」


びっくりした。

美津菜がそんな事を言って来るなんて。
でも、何か理由があるのだろう。


「分かった。二人で行こう!」


あたしは美津菜を安心させるように、笑顔でそう答えた。
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