涙飴

あたしはハンバーガーを一口かじった。
ピクルスの独特な味が、口の中に広がる。



「あのね……あたし、これからする話を姫月に言おうかずっと迷ってたんだけど、やっぱり言うね」


そう言うと、美津菜は少し間を空けてから、その話を始めた。


「姫月さ……華耶の噂、聞いた事ある？」


華耶の噂……？
あたしは首を左右に振る。


「そっか。結構前に聞いたんだけどさ……華耶、中学の頃人の彼氏取る最低女って有名だったらしいんだよね……」

……人の彼氏を取る……？
華耶が……？

そんな話があったなんて、全く知らなかった。
美津菜は話を続ける。


「でもただの噂だし、華耶と同中の人もそこにいなかったから、どうせ嘘だろうと思って聞き流してた」


そう話す美津菜の表情がどんどん暗くなっていく。


「…でもね、聞いちゃったんだ……」