涙飴
あたしは笑顔でそう言った。

「ありがとう……」


やっと美津菜も笑顔になった。

これで……いいんだよね?


結局、華耶との事は秘密のままにしておく事にした。

今その事を言ったら、ますます美津菜を困らせるだけだ。

それに、もう終わった事。


でも、あたしの中の華耶はどんどん崩れていっている気がする。
美津菜の話が本当なら、華耶はあたしが大地を好きだと言ったから、大地に近付いたという事になる。


華耶は、本当に大地を好きなのだろうか。


すぐに別れるというのも本当だとするならば、大地ともすぐに別れるのだろうか。


いや、そんな事はもう関係ない。
だって、もう大地の事は諦めたんだから。


華耶との事だって、もう大地の事は諦めたんだから、どうでもいいはずだ。

諦めたんだから……。



『告白するかどうかは自分で決めれば?俺は関係ねぇし。
ただ…このままでいてもずっと辛い想いするだけだと俺は思う』


ふと五十嵐の言葉を思い出した。

告白、か。

やっぱりあたし、大地の事をまだ諦められてないのかな……?
< 112 / 268 >

この作品をシェア

pagetop