涙飴
あたしは席に戻り、間違った問題を解き直す。

やっぱり前と何かが違う。
前は、何が間違ってるのかさえ分からなかったけど、今はそれがちゃんと分かる。


全部、五十嵐のお陰だ。




あたしは帰り道、バスの中で思った。

大地はあたしの気持ちにこれっぽっちも気付いてない。

五十嵐は告白しろと言ったけど、こんな状態で告白して、何か意味があるのだろうか。

今更告白なんて、今よりもっと辛くなるだけじゃないか。


大地だって、ただの幼馴染みから告白なんかされても、困るだけだろう。


第一、あたしの気持ちは告白する程のものなのだろうか。


このまま放っておいても、勝手に消滅する程度のものかもしれないし、そうだとすれば、告白をする必要などないと思う。
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