涙飴
「え?今日部活ないの?」


あたしは、大地の言葉を聞き返す。


「うん。今日は顧問の戸田先生出張でいないから」


「そっか……じゃあさ、今日一緒に帰らない?」


言ってから後悔した。
きっと断られるだろう。

第一、告白すると決めた訳ではないのに。


「いいよ!」


「え?いいの!?」


「は?お前が言ったんだろ?」


確かに聞いたのはあたしだけど、まさか本当に帰れるとは正直思っていなかった。


「だって、いいの?……華耶とかさ…」


自分言ったくせに、そんな事を気にするなんておかしいとは分かっている。
だけど、やっぱり気になってしまう。


「あぁー大丈夫だろ。俺ら幼馴染みなんだし」


またその言葉。


「それに、姫月と最近話してなかったしな」


そう言って、大地はニッコリ笑った。


あ、まただ。

また胸が締め付けられる。

その感覚に、やっぱりあたしは大地が好きなんだという事を実感させられる。
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